商標権者が商標権を侵害された場合、裁判所に訴えを提起することで、それによって被った損害の賠償を求めることができます。
損害額を証明するのは商標権者側となりますが、商標権侵害の場合、その損害額の立証が難しいため、商標法に損害額の算定規定がもうけられています。
その算定方法の一つに、その商標の使用料相当額を損害の賠償として請求することができる、という規定があります。
今回は、その使用料相当額について争われた事件です。
被告は、実施料率は2%が相当である旨主張しましたが、
裁判所は、原告が被告以外の第三者との間で本件商標の実施料率を5%とする使用許諾契約を締結していることを参酌し、実施料率は5%が相当であるとしました。
商標権の損害賠償請求訴訟において認定された実施料率は、1%未満から10%にいたるまで、幅広い例がありますが、
この算定規定に基づく損害額は低廉であることが多いため、訴訟では、他の算定規定が認められなかった場合の予備的な請求として主張されるケースがよく見られます。
今回は、平成24年1月21日から6月30日の原告商品の売上が57万2916円、
損害額は2万8645円と認定されました(572,916×0.05≒28,645(1円未満切捨て))。
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