今回ご紹介するのは、登録商標「ローズオニールキューピー」(「宿泊施設の提供,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),展示施設の貸与」)に対し、キユーピー株式会社が、同社の登録商標「キューピー」等に類似するとして登録の無効を求めた事件です。
みなさんは「ローズオニールキューピー」と「キューピー」、似ていると思われますか?
そもそも、商標が似ているかどうかは、どうやって判断されるのでしょうか?
商標が似ているかどうかは、見た目、読み方、意味合い(外観、称呼、観念といいます)を総合的にみて判断されます。
今回の事件では、特許庁は「ローズオニールキューピー」と「キューピー」とでは、外観、称呼、観念すべて違うから似ていない、と判断しましたが、裁判所は、キユーピー株式会社の商標「キューピー」等は「飲食物の提供」の分野で著名であるから、「ローズオニールキューピー」をそのサービスに使用した場合には「キューピー」との称呼、キューピーのキャラクターとの観念を生じる、したがって両者は類似すると判断しました。
つまり、「飲食物の提供」の分野では「キューピー」ブランドが有名であるため、「ローズオニールキューピー」を見聞きした消費者が「キューピー」の部分だけに着目する可能性がある。だから「キューピー」に類似するとの判断です。
このように、その商品・サービス分野において有名な商標を含む商標は、(有名な商標に乗っかろうとする意図のあるなしに関わらず、)その有名な商標に類似すると判断される可能性があります。
商品やサービスの名称を考える際には、その点注意が必要です。
例)化粧品について「ラブロレアル」と「ロレアル」は類似
かばん類について「PAOLOGUCCi」と「GUCCI」は類似
ちなみに、「ローズオニールキューピー」の商標権者は、日本を中心にローズオニールキューピーのライセンス活動を行っている「株式会社ローズオニールキューピー・インターナショナル」の代表取締役。キューピーのイラストとキューピー(KEWPIE)という名前は、もともと米国人女流画家ローズ・オニールが創作したものだそうです。
判決全文は→こちら