商標権は、指定した商品又は役務について、登録商標を独占的に使用できる権利です。
商標権者は、登録した商標を自分で使うこともできますし、他の企業に使ってもらうこともできます。
登録商標を他の企業に使ってもらうためには、使用許諾契約を結びます。
これが、商標のライセンスです。
商標のライセンスには、独占的なもの(専用使用権)と、非独占的なもの(通常使用権)があります。
専用使用権は、特許庁に登録しなければ、効力が生じません。
また、専用使用権を設定した場合、契約で決めた範囲内については、
商標権者でもその商標の使用ができませんので、注意が必要です。
通常使用権は、複数の企業に使用権を許諾することができますが、
特定の企業だけに使用権を許諾することもできます(独占的通常使用権)。
商標のライセンスは、
商標権者にとっては、実施料を得てブランドを拡大することができるというメリットがありますし、
ライセンスを受ける側にとっては、既存のブランド力をもとに事業展開ができる、
といったメリットがあります。
先日、「リッツ」、「オレオ」の販売終了が話題になりましたが、
「リッツ」、「オレオ」はもともと、旧ヤマザキナビスコ社(現ヤマザキビスケット社)が、
モンデリーズ社との間で、「ナビスコ」ブランド、「リッツ」、「オレオ」等の技術および
商標のライセンス契約を結び、製造販売していたもの。
このライセンス契約が終了したため、ヤマザキビスケット社に社名を変えるとともに、
「リッツ」、「オレオ」等の製造販売を終了したようです。
「リッツ」は現在、モンデリーズ社のもとで製造販売されており、
ヤマザキビスケット社は新たに「Levain」というブランドを立ち上げ、
クラッカーの製造販売を再開しました。
ヤマザキビスケット社は「リッツ」ブランドで40年以上、クラッカーを販売してきましたが、
ライセンス契約終了にともない、新たに「Levain」というブランドを育てていくことになります。
実は、モンデリーズ社の「リッツ」と、ヤマザキビスケット社の「Levain」を食べ比べてみたの
ですが、「Levain」の方が、契約終了前の「リッツ」の味に近いように思いました。
クラッカー好きの私としては食べ比べずにはいられなかったわけですが、
自宅はクラッカーだらけになっております。
ただ、今のところ、「Levain」という名称は、
まだ「リッツ」ほど消費者に認知されていないかもしれません。
商標のライセンスは商標権者、ライセンスを受ける者、双方にとってメリットがありますが、
商標権者の方針変更等により、ライセンス契約が終了してしまう場合もあります。
ライセンスを受ける側は、ブランド名が使えなくなった場合のことも
視野に入れつつ、事業を展開していく必要があるといえます。