商標法には、商標権者等が登録商標を3年以上使用していないときは、誰でもその商標登録を取り消すことについて審判を請求できるという制度があります。
登録商標に変更を加えて使用していた場合、それは登録商標を使用していたことにはならない、と判断され、その登録が取消されてしまう可能性があります。
今回ご紹介するのは、不使用取消審判において「PEARL/パール」の使用を認めた特許庁の審決が、知財高裁において取り消された事件です(平成25年(行ケ)第10164号 審決取消請求事件)。
登録商標は、「PEARL/パール」(二段書き)(指定商品「たばこ」)。
商標権者側が使用していたのは「パールフィルター」、「PEARL FILTER」。
裁判所は、「パールフィルター」は二次的ブランド名として使用されているとしましたが、その上で、取引者及び需要者はこれを一連一体のものとして認識するものであって、「パール」のみを分離して認識するものではないと認定。
「パールフィルター」は、「PEARL/パール」と社会通念上同一の商標であるということはできず、本件商標が使用されているとは認められない、と判断しました。
今回のケースでは、登録商標「PEARL/パール」に対し、使用商標が「パール」を含む語である「パールフィルター」。「フィルター」は、「フィルター付きたばこ」との関係では、商品の品質等を表す言葉といえそうですし、「パール」を使っているようなもの、と思われるかもしれませんが、今回のケースのように、使用が認められない場合もあります。
登録した商標に変更を加えて使用される場合は、社会通念上同一と認められる範囲を超えないよう、注意が必要です。
判決全文は→こちら