先日、不正に改造したiPhoneを販売したとして、商標法違反の疑いで20代の男性が逮捕されたというニュースを耳にしました。
報道によると、今回販売されたのは、いわゆる「脱獄」したiPhone。
「脱獄」とは、iPhoneのiOSを改造して機能制限を解除することで、脱獄すれば、App Storeにない非公式アプリを利用することもできるようになるとのことです。
もちろん、Apple社は「脱獄」を認めていません。
不正に改造したiPhoneでも、もともとは、アップル社から購入したものです。
ではなぜ、不正に改造したiPhoneを販売すると、商標権侵害になるのでしょうか。
商標には、同じ商標が付された商品は同じ提供元のものであるという、商品の出所を表示する機能(出所表示機能)、同じ商標が付された商品は同じ品質であることを保証する機能(品質保証機能)があります。
例えば、消費者は、スマートフォンに表示されたりんごのマークをみて、それがアップル社の商品であると理解しますし、りんごのマークが付されたスマートフォンを見れば、消費者は、あの品質の商品だな、と考えます。
今回の事件のように、りんごのマークやiPhoneの表示がついたままで、権利者の許諾を得ずに、不正に改造したiPhoneを販売することは、商標の品質保証機能を害することになりますので、商標権侵害であると判断されたものと思われます。
通常、権利者により正規のルートで販売された商品をそのまま転売する場合は、商標権侵害にはなりません。
しかし、今回の事件のように、権利者の意思に基づくことなく、もとの商品に改造を加えて販売した場合は、商標権侵害と判断される場合があります。
また、その他にも、
もとの商品に付された商標を剥奪抹消した商品(もとの商標を消した商品)を販売する行為や、
権利者の意思に基づくことなく、もとの商品を小分けにして販売するような行為は、
商標権侵害と判断される場合があります。
※「iPhone」は、Apple Inc.の商標です。