商標登録の基礎知識
地名は商標登録できるか?
地名だけからなる商標
「北海道」や「東京」など、地名は商標登録できるのでしょうか。
例えば、商標「北海道」について、指定商品を「牛乳」として出願をした場合を考えてみます。
このような出願について商標登録が認められてしまうと、権利者以外の牛乳の生産者が「牛乳」について、容器やパッケージなどに「北海道」と表示しにくくなってしまいます。
特に、北海道の牛乳の生産者にとっては、大変困ったことになります。
そのため、地名だけからなる商標については、基本的に、商標登録が認められていません。
商標法では、商品の産地、販売地、役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示するものについては、商標登録を認めないと定められています。
実際の商品の産地や販売地が、商標により表される地名と異なる場合であっても、その地名が商品の産地や販売地として認識されるような場合は、商標登録が認められないようです。
例えば、リンゴの生産者が「東京」という商標を出願した場合、たとえ、実際の商品の産地や販売地が青森県であったとしても、「東京」が産地や販売地であると消費者に認識される可能性がありますから、商標登録は認められません。
このように、基本的には、地名だけからなる商標については、商標登録が認められないとされています。
ただし、例外もあります。
「泡盛」は沖縄で生産されることが知られていますが、「一本松」という地名が「泡盛」の産地等として知られているといった事情はない、として、商品「泡盛」について、商標「一本松」(愛媛県南宇和郡等の地名)の登録が認められた例があります(登録第4801000号)。
上で述べたように、商品の産地などを普通に用いられる方法で表示する場合は、基本的には、商標登録が認められません。
< 例 >
「東京」、「北海道」などの地名をそのまま表示した商標の場合
⇒ 普通に用いられる方法で表示したものだと言えますので、商標登録は認められません。
また、これらを英語表記にしたもの(例:「TOKYO」)、カタカナで表記したもの(例:「トウキョウ」)も、取引上、一般的に使用されるものですので、商標登録は認められません。
地名などを普通に用いられない方法で表示する場合は?
一方、地名などを普通に用いられない方法で表示する場合は、商標登録が認められる可能性があります。
<例>
- 「○○○東京」、「東京○○○」などのように、特徴的な単語「○○○」を前後に追加することで、登録が認められる可能性がでてきます。
ただし、「○○○」が「おいしい」、「スーパー」などの品質を表すようなものである場合、「みかん」など指定商品の一般名称を表すようなものである場合は、商標登録は認められません。
-
「東京」の文字を大きく変化させてロゴ化した場合、登録が認められることがあります。
- 「東京」の文字に特徴的なロゴを追加することで、登録が認められることがあります。
ただし、追加するロゴが、△や□のように一般的によく用いられる記号の場合は、通常、登録はみとめられません。
このように、地名に特徴的な単語を追加した場合、地名の文字をロゴ化した場合、地名とは別に特徴的なロゴを追加した場合などは、商標登録を認められることがありますが、気をつけなくてはいけないのは、商標登録をすることが目的化してはいけない、ということです。
「使用したい商標があるから商標登録をする」のではなく、「商標登録をしたいから出願する商標を決める」のでは本末転倒です。
商標登録は、ビジネスを円滑に運営していくための一つの手段にすぎませんので、「皆さんの使用したい商標が登録できるのか?」ということを確認するために、上で述べたようなルールを活用していただければと思います。
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